12月30日朝の8時30分頃、 「あーッ、まだ話し中になっている」
実は28日から3日間電話をかけ続けているが、ずうっと話し中の「ツーッ、ツーッ」音である、
故障なのか、それとも、
おそらく、受話器が外れているのだろう、そう、火星人の多田さん宅の電話である、
ただ受話器が外れて多田さんが気が付いてないだけならいい、問題はなぜ外れたままなのか、
最悪の場合、多田さんがどこかへ電話しようとして受話器を持ったまま倒れているのかもしれな
い、NTTに照会して受話器が外れているのかどうかわかるらしいが、仮に外れているのがわかっ
ても多田さんが倒れていたらどうしようもない、多田さんはまもなく90歳、その可能性は十分にあ
る、 もうこうなったら多田さんちへ行くしかない、出動するしかない、
何と言っても、僕は「安否確認」の専門家?であった、(4年前までは)
数多くの「安否確認」を行ってきた、数多くの倒れている方々を発見してきた、
多田さんに今あの世に逝っていかれたら僕も困る、まだまだお聞きたいこともある、
いずれ多田さんにはお会いしなければいけない、
そこで、30日に出動したのである、明石を出たのが9時頃であった、片道2時間なのでそう遠くは
ない、住所はすでに調査済みなのでわかっている、あらかじめストリートビューで建物の外観等も
調べてあるのですぐにわかるだろう、
最寄りの駅から多田さんちまでは10分、ストリートビューで調べてあったのですぐにわかった、
ただ実際に多田さんがそこに住んでいらっしゃるかどうかはわからない、
建物の中に入って郵便ポストを見てみる、アッター、多田さんのポストがあった、
ここに住んでいらっしゃるのは間違いない、ただ管理事務所が休み、
そこで、多田さんの郵便ポストの中を覗いてみた、そう、郵便物やチラシが溜まっていないか、
覗いてみると、おお~、ポストの中は何も入ってない、数日間も連絡がとれなかったけれど、
ポストの中がスッカラカンとは、このような場合、まず倒れていることはない、
とりあえずは一安心、エレベーターに乗って多田さんの4階へ、
あった、多田さんの表札が、インターホンを鳴らしてみた、
すると、インターホンから、「どちらさんですか?」 との応答が、
僕はすかさず、「多田さん生きてましたか!!」 <続く>